【幾多の災難を乗り越えて! 長崎 平戸・宮ノ浦】
               @森本 匡俊

■不意の大波に頭の中まで真っ白に■

釣り納めから年始の釣りまで四連続ボーズ。また、瀬上がりした釣場で大波を全身に浴び、風邪をこじらせるなどいいことがまるでない。そんな流れを一新しようと、同僚といろいろ相談して平戸・宮ノ浦へ向かうことにした。
 
しかし、私たちサラリーマンは、天候のいい日を選んで釣行することができず、釣場を決めても時化で中止になることが少なくない。
 
週間天気予報では、釣行日の1月21日は降水確率50%、波の高さ2.5mと芳しくなく、今回はキャンセルしようということになっていた。
 
ところが、前日の17時になって波2m、降水確率20%と天気予報が急変し、急きょ釣行を決意した。が、これが災難の始まりだった。

まず中止予定の釣りを強行するから、同僚にやっぱり行けませんとドタキャンを食らってしまい、福岡県の自宅から平戸・宮ノ浦まで往復の六時間を一人で運転しなければならなくなった。
 
出船は早朝4時ということで、丸銀釣センターに3時40分に到着し、荷物を船に積み込んだ。さっそく船長に挨拶し、今度の天気予報の話をすると、「そうねえ〜、天気予報は大袈裟だし、現地の状況を確認するんなら電話してくれたらいいよ〜」と船長は言ってくれた。
 
予報では2mの波が、沖磯に到着してみるとベタ凪だった。波が高く、雨が降るという予報のため釣人は多くない。どこでも上がれるということで、尾上の西に降ろしてもらった。
 
いつもなら使用するマキエは面倒だからいっペんに作ってバッカンの中に入れてしまうのだが、今日は時間が長く、たくさん持ってきていたから半々に作ることにした。まずオキアミ生二角にマルキューのV10とヒロキューのホワイトパワープラスを一袋ずつ混ぜて半日分とした。この選択があとで大きなドラマを呼ぶとは思ってもみなかった。 

1月の朝5時はまだ真っ暗で、ウキにウミホタルを装着して釣りを開始した。風はさほどなく、海は穏やかで非常に釣りやすい状況である。期待に胸膨らむ時間がすぎてゆく。
 
しかし、この状況は長くは続かなかった。開始から一時間ほどで風が非常に強くなり、波が足元まで遣い上がってきた。これはまずいと思っている矢先、ドーンと一回り大きな波が押し寄せて、あたり一面を白く染めてしまった。
 
バッカンやタモは私の遥か後方に転がっており、私の頭の中も真っ白になってしまった。状況を確認すると、バッカンの中身はあたり一面にぶちまけられており、マキエシャクは真っ二つに折れ、タモは枠の部分がこれまた真っ二つになっていた。時計を見ると6時50分であった。
 
開始から二時間弱で釣りに不可欠なものを数々失い、もう二度と釣りなんかするものかと思うほどの大惨事であった。
 
しばらくして我に返り、そういえば今日はマキエを半分に分けたことを思い出した。
「とりあえずマキエがなくなるまで頑張ろう」と呟き、7時30分から後半のマキエを混ぜ合わせることにした。
 
尾上島の状況は、エサ盗りさえまったく姿を見せず、風が真横から吹きつけ、潮も左右にフラフラ一定せず、9時30分まで頑張ったが、誰一人として魚を釣り上げた人はいなかった。ここで船長に電話して瀬変わりをお願いした。
 
■カブシマで自己記録更新のクロを釣る■

次に降りた場所はモトバンで、先客と入れ替わるときに状況を確認すると、「エサ盗りが多くて釣りにならんよ」とのこと。
 
釣場に立ってみると、風が優しく後ろから吹き、潮は左から右に切れて流れていた。仕掛けは、朝の大波でウキ止め糸をなくしてしまったから全層ウキを使用した。 

フルエリア、ミドルエリア、レッツ、IDRレイヤーと水面に浮くタイプをすべて試し、ガン玉の有無、段打ちを試し、ハリスを一ヒロ半から四ヒロまでいろいろ変えたが、エサ盗りの乱舞で当たりが出ないのにまったくツケエが残らない。

原因は、サラシによる引かれ潮と風とが作用し、うまく仕掛けの張りが作れないことだった。
ここでウキごと仕掛けを沈める全層沈め000をセットし、あまり深く仕掛けが入らないようにガン玉を外し、三ヒロのハリスを漂わせるイメージで流し始めた。
 
すると、三投目で竿先に違和感があり、即座に合わせるとスズメダイが姿を現した。エサ盗りの正体が分かった。そこで、マキエを足元に打ち、仕掛けを竿六木沖に投入し、追いマキエを一杯だけ被せて当たりを待った。
 
ベールを起こしてフリー状態にすると、道糸がじわじわ出てゆく。50m流して仕掛けを回収するとツケエが残っており、勝負するポイントが見つかったと確信する。

同様に仕掛けを投入し、出てゆく道糸を見つめていると、急にパラパラパラと出てゆく。

「あれ、流れが変わったかな?」 
あまりにも当たりが遠のいていたため、これが当たりと分かるまで少し時間が必要だった。半信半疑で竿を起こすと力強く竿を絞り込んでくる。

手前はオーバーハングになっているため、強引に強引にと頭で呪文を繰り返して取り込んだのは、四連続ボーズを打ち破る40cmジャストのクロだった。
 
久々の獲物を確保したことで浮かれすぎてしまい、磯を駆け回ったり、魚を締めて洗うために水汲みバケツを持って磯際へ行ったり、デジカメで風景を撮影したりとしばらく磯の周りをサロウロしたせいで、いつの間にかお気に,入りのベスト装着タイプのエサ箱をなくしてしまった。
 
ツケエがなければもはやこれまでとゲームオーバーを決意し、隣の人に帰りますと挨拶すると、私のツケエを使っていいですよと優しいお言葉をいただいた。
 
しかし、釣りを再開すると潮は完全に止まっていた。好機を逃してうなだれているとき、船長が見回りに来て、今度はカブシマに瀬変わりさせてもらった。
 
カブシマもエサ盗りの乱舞でモトバンと大して変わらない状況だったが、マキエを正面に打ち、少しでもツケエが残る場所を探して投入点を変える作戦をとった。
 
まず大遠投するとツケエが残ってきた。そこを重点的に攻めて、四投目で30cmのクロをゲットした。
 
しかし、大遠投作戦もツケエがまったく残らなくなり、次の場所を探す。釣座から潮下の磯際ではツケエが二回に一回は残ってくることが分かり、これがラストチャンスだと残り少なくなったマキエを直接ポイントに三杯ほど先打ちし、仕掛けを一呼吸おいて投入。

そのあと、追いマキエを打ってチャンスを待った。 道糸が勢いよく飛び出したのを確認し、ベールを戻して会心の合わせを入れると、魚の手応えが伝わってきた。が、手応えは軽く、容易に足元まで寄ってきた。
 
しかし、大変だったのはそれからで、いきなり左右にあるシモリに向かって走り始めた。あまり道糸を出すといけないので、しっかり竿でタメて取り込んだ。獲物は44cmのクロで、自己記録を更新する一匹だった。ここでついにマキエがなくなり、納竿とした。
 
港に戻り、船長に挨拶すると、せっかくだから写真を撮ろうと言われた。慌てて車に戻り、クーラーを取って来て撮影してもらい、お礼を言って帰路についた。

「あ! クーラーを忘れた!」気づいたのは、平戸大橋が少し見えてくるところだった。∪ターンして宮ノ浦までクーラーを取りに戻った。中身は幸い無事で、家で美味しく食べた。 

今回はいろんなことがあったが、最後は本当に充実した一日をすごすことができたと思っている。お世話になった隣の釣人様、船長、そのほかのみな様方、本当にありがとうございました!

(メモ)
★丸銀釣センターTEL0950・29・1006

 キザクラ Index-Flashへ  TOPメニューへ