鵜澤政則の超エッセイ 雑談ではございますが】
78 何でか深い所にクロダイが

陽気のほうもがなりよくなってきて、あっという間にもう暑いくらいの季節…、春はいきなり夏に変わってきます。この梅雨時期の東北はクログイ、マダイの好時期。ですがマダイは結成気まぐれ。どうしても釣らなければ絵にならない「取材」という宿命を帯びた釣りの時は、基本的にはタイ釣りはあまり好きではありません。メジナに比へて絶対性が薄いからです。

「こんな所で?」という所で釣れたり、「ここなら絶!」というような所で釣れない…ということが多いからなのであります。難しいというのではなく、意外性が多過ぎるのです。タイ系は関東では数が少ないのが釣りにくいし、どうしても釣れる所、釣りやすい地区に流れる傾向になるので、この時期は釣果に確実性の高い、つまり釣りやすい東北地方でのタイ釣りになるのです。

■東北のクロダイ人気はスゴイね■

6月はマダイを求めて新潟の粟島に行ったのですが、釣れたのはクロダイだけ。7月は「タイが釣れてる前線」の北上に伴って、性懲りもなくまたしても東北の庄内地方に行ったのであります。

本当はこの庄内の前に飛島に行ってマダイを狙いたかったのですが、島に嫌われたのか僕の行く時に限って風が吹きそうということで船長からの中止指令が来てしまってやむなく中止。実は昨年もこの少し後の時期に飛島に行ったのですが、その時は逆に風も波もないピーカンのベタ凪で暑さで死んでる状態だったのに、その反動が今になって来たような気がします(んなわけないとは思うけれど…)。
 
この庄内に釣行したのはダイワ精工且蜊テのクロダイ釣り大会・スーパーバトルカップチヌが行われた時です。僕はその役員だったので、現場の状況視察という名目で行ったのであります。決してそれにかこつけてではなく、今年の釣れ具合のチェックという大義名分で楽しんだのでした。
 
渡船した先は、会場のすぐ近くにある由良港から沖の倉泉島。同大会も段々と認知されてきたのか、今年は昨年に比べて結構参加者が増えていました。やはり東北の釣り人は晩熟だったのでしようか?
 
でも1回走り出したらその勢いは速く、この状況を見るとやはり東北のクロダイ人気が分かります。そして結構新し物好きだったのか、今年久々にダイワが出したクロダイ竿の「銀狼」もかなりの人が使っていました。内心、嬉しい(^-^)。
          
■庄内磯の印象が変わった■

釣りのついでにポイント全部はなかなか見て回れるものではありません。だから、1箇所の約り場で実釣したからといってその全容を掴めるものでもありません。ここ庄内の磯には前にも来たことがあるのですが、竿を出したのは今まで数箇所のみ。これで全部を把握するというのは所詮無理なことです。でも釣らなかったら全く分からないのが釣りなのです。
 
その釣り場(全体)の印象というのは、自分が行ったその場所(1箇所)の印象でできてしまうものです。僕の今までの釣行では、四ツ島を除いて殆ど浅いポイントだったので「庄内の磯はあまり深くない」と思っていました。ところが今回のポイントは結構水深があり、足元から20m先は水深20m以上ある感じで、全層釣法には最高のシチュエ−ション。「庄内にもこういう場所があるのか…」と勝手に嬉しくなってしまったのです。僕には得意パターンの釣り場でありました。

■やっぱりタイは分かりません■

大会の選手が出発した後、明るくなってから磯に乗り、わくわくしながら仕掛けの用意。使う竿は今回初おろしの「銀狼競技」。こんな時間が一番楽しみかもしれません。
 
しかし、約り始めて皆でコマセを撒いても小魚1匹見えないのです。6月下旬にしては珍しいことです。磯に乗ったのは選手を含めて4人、多分皆それぞれ仕掛けを沈めているとは思うのですが、ツケエサは残ってくるし、なかなか食ってきません。

しばらく釣って竿3本近く沈めるとアタリがあって食ってきたのは小型のマダイ。

やはり放流が効いているのか、小型ではありますがマダイはポツポツで食ってきます。しかし肝心のクロダイが食ってこない。乗った4人のうち2人は選手で登録してあるため、何とか彼らにクロダイを釣ってほしいのですが、釣り続けても気配がない。そのうち潮流が沖から陸のほうにアテてきてしまって、とても釣りになる状況ではなくなりました。
 
その潮流に乗って寄ってきたのが小さなクサフグの大群、しかもその数たるや半端でない…。でも、なぜかコマセに集まって適当に食ってはまた群れでどっと移動してしまう変なフグで、何か狐につままれているような感じでありました。
 
でも問題は潮流。この後、表層は左に、下層は右に流れる典型的な2枚潮になってしまったのであります。僕自身もこんな絵に描いたような2枚潮に遭遇するのは久しぶり、という感じです。

いくらやっても0の仕掛けではウキが左に仕掛けは右にで合わないので、「こうなったら…」と半分ヤケクソで000を付けて全部まとめて沈める作戦に。

「これでは深く攻め過ぎてクロダイは釣れない」と思いつつも、全層の沈め約りを続行。僕は大会には参加していないのでマダイを釣りたいという下心があったのです。
 
しばらくして深く沈めたラインの入リが速くなったので、とりあえず仕掛けを張って聞いてみると、なんとこれが40cm弱のクロダイだったのです。タナは竿4本近く。

「まさかこんなに深いとは…」と思いつつもう1度投げて同じように深く沈めてみると、2匹目は明確なアタリで40cmオーバーのクロダイがヒット、竿を満月に絞ってくれました。もう1匹、と思っていたのですがここでタイムアップ。何とか格好がついた感じで釣ることができました。
 
釣り人の定説では考えられませんよね、竿4本でクロダイ、3本でマダイ、上のほうには小さなフグの山。でもこれなんです!潮の澄んでいる時はタナをどんどん深くしていいのです。常識的にはこの時期のクロダイは竿1〜2本の間で食ってくると思っているのでありますが、やはり自然は不思議、なかなか思うようにはいきません。ましてや2枚潮ではもっと分からない。

でも結論は、やはりコマセにツケエサを同調させてやれば何とか結果がついてくるものなのです。釣り人が勝手にクロダイのタナを決めてはいけないのであります。

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