前編/GTRとその使い方 
【”真”の全層釣法とは?】
                               岩永 和久

 1998年の秋、”何でも釣れる、誰でも釣れる、カンタン仕掛け”を謳い文句に爆発的な人気を得た「KzGTR」は、誕生以来3年が過ぎた現在もその人気は衰えることなく、釣り人に支持され続けている。ご存じかと思うが、当然GTRを使うということは「全層釣法」ということでもある。

■GTRの誕生話■

 振り返ってみれば今から十数年前、まだ「全遊動仕掛け」と呼んでいた頃はただウキ止めを付けないだけの
仕掛けで仕掛け自体も重く、そのためかアタリも出にくい上に根掛かりが怖くて、潮流が速く水深のある釣り場
のみでしか使えなかった。そんなデメリットの多い仕掛けではあったが、仕掛けがシンプルで作りやすく、ウキ釣りで一番重要と思われるタナ設定″
で悩むこともないなどのメリットもあり、実際それなりの釣果を得られた。
 従来の斜めウキはミチ糸が通過する角度が水平に対して45度傾いていたため小さなアタリを見逃していたが、
数年間の試行錯誤の末これを水平にし、前述のようなメリットを活かした上、余浮力もゼロにすることで円錐ウキにも匹敵する好感度を実現することができた。
さらにウキ穴を6mmまで大きくする新たな発想により、深ダナのポイントまでツケエサを運び、さらに軽い仕掛け
ゆえにツケエサとコマセとの同調時間をより長く保つことが容易になった。
そして今まで攻略しえなかった深ダナまで難なくツケエサを届けるため、マダイ、クロダイ、イサキ、大型のメジナと魚種、型、数を問わず、これまでの数倍の釣果を得ることができるようになった。そう、それが 「KzGTR」である。
 それでは今号から2回に分けて「真″の全層釣法とは?」と題して私の考案したウキ、アイテムに関して執筆してみたい。

■全層釣法とは?■

 まず、全層釣法とは「海面から海底までの全てのタナを探りながらいつでもアタリの取れる状態を保ち流し込んで行く釣法」である。すなわち季節やその日の水温、時間帯によって刻々と変化する魚のタナを隈なく直撃する釣法が全層釣法と言っても過言ではない。
 それではGTRの基本的な仕掛けと釣り方から説明してみよう。まず、仕掛け図を参照してほしい。
ここで潮流のない釣り場、潮流のある釣り場それぞれで仕掛けの違いは

●潮流のない釣り場(A図)
 浅ダナの場合は潮受けの良いクッション水中を付ける。
 深ダナの場合は確実に沈めるためJクッション水中+ジンタンを付ける。

●潮流のある釣り場(B図)
 過度に潮で仕掛けが流されないようなるべくシンプルな仕掛けにし、ジンタン1個かさらに極小ジンタンの段打ちが基本。

 ここで説明しなければならないのが浮力表示である。
全層ウキの浮力表示には000(トリプルゼロ)、00(ゼロゼロ)、0(ゼロ)、B、2Bとあるがよく勘違いするのが浮力表示とガン玉の関係である。
例えばB表示のウキにBのガン玉を打つとイコール±0となり、”ウキの浮力は浮かず沈まずの状態で浮いている…”と今までウキ止めを使用していた人達はそう考えるだろう。
しかし、ウキ止めの無い全層仕掛けではそうはならず、ミチ糸の送りを止めた状態の時にウキの持つ浮力がガン玉のBであるということだ。
つまり、このミチ糸の送りを止める行為がウキ止めの役割をするのである。

 全層釣法の質問の中で「根掛かりが多い」というのがよくある。
この原因としてありがちなのが、ミチ糸を緩めたまま流し込んでしまい、ウキ止めの行為をしていないことだ。
当然、これでは仕掛けは沈む一方で最後には根掛かりをしてしまう。
それではどうすれば良いかと言うと、単純に自分の好きな所でミチ糸の送りを止めれば良いのである。
つまり、魚が居ると思う探さにツケエサを送り込んだらミチ糸の送りを止めてアタリを待ち、アタリが太ければまたミチ糸を送り込んでアタリを待つ。
この繰り返しをしながら段々海底近くまでツケエサを探りながら入れていく。そしていつか魚の居るタナに辿り着いた時に釣れるということになる。
 簡単に説明すると、表示が班のウキに盟のガン玉を打った仕掛けは単純に2Bの速さで海底に向かって沈んでいく。
それを途中で止めるには、ウキ止めの役目をする「ミチ糸の送りを止める行為」しかない。
 0表示のウキを基準に考えると、0は真水では沈むが海水ではぎりぎりに浮く設定となっている。
しかし、針やハリスの重さ、また、吸い込み潮によっては沈むこともある。
初心者はこの0表示のウキを基本に使用すれば早くその仕組みが分かると思う。
 00は沈め専用でツケエサ、針、ハサスの沈むスピードより遅く、風のある時やウキ下の仕掛けの沈みが不安な時にウキを沈めることでタナを
取っていく。これはハリスにガン玉などを打たずにタナを探るのに有効。
特に食い渋るメジナに対しては絶対的な効果がある。
 000は水深があり潮流の速い場所で使う。使用方法としては潮流の速い中でウキに当たる潮の重さを感じながら
(ミチ糸にテンションを掛けながら)流し沈めていくと良い。
 さて、ウキの持つ性格と基本的な使用方法を説明したが、次に実際に釣り場に立ってからの釣り方を説明しよう。

■基本的な仕掛けの投入■

 始めに仕掛けの投入法だが、ウキの着水前にサミングしてブレーキをかけ、釣り人側からウキ、ガン玉、ツケエサの順で着水するように投入する。
その後ハリス、ミチ糸のフケを取るためツケエサから竿先までを一直線にして、ウキ下が馴染むまでミチ糸は出さず、ウキ下が馴染んだ頃から
潮流に合わせ、張らず緩めずの状態を保ちながらミチ糸を送って仕掛けを入れていく。
もし潮流がなければ、そのままの状態で待つと仕掛けが沈むに伴いウキが少しずつ手前に戻って来る。
その戻る長さ分、仕掛けが沈んでいる(ウキ下が深くなっている)と思えば良い。

■アタリ後のアワセ方■

 ウキを浮かせてあるいは沈め釣りも、アタリは突然やって来ると思っていたほうが良い。
裏返して言えばそれだけミチ糸を張っていなければ小さなアタリは取れないということだ。
当然、不意のアタリだけに体感的な衝撃は凄い。一度味わうと癖になる。
そのアタリに備えてリールのベールはオープンにしておくことを勧める。
もっともアタリ云々を言う前にスムーズなミチ糸の送りをするためにはオープンベールにしていなければならない。
 アワセ方はスプールの縁でミチ糸を指で抑えると同時に竿を立てる。
その時にスプールと指の間からミチ糸が幾らか抜け出るように、指先は軽くスプールの縁を抑えていれば良い。
これらは突然のアタリからくる衝撃からハリス切れを防ぐためと、竿を立てることで竿の角度を保ち竿の弾力をフルに活用でき、2回目の引きに対しての態勢を有利にするためだ。
竿を立てた後はスプールの縁でしっかりミチ糸を抑え、魚の大きさと走る方向を素早く察知し、魚の大小を確認してすぐに寄せの体勢に入れると思えたらベールを戻してやり取りに移れば良い。
しかし、手に負えないような大物であればスプールを軽く指先で抑えてオープンベールのまま引きに耐えているといつかは走りが止まる。
それからはいつものようにやり取りを開始すれば良い。

■初心者にも使いやすい便利アイテム■

 次に「KzSUB全層ホルダー」の使い方を説明しよう。
 環付きウキはキザクラ″から色々な浮力、型がデビューしているが、全ての環付きウキとこの「KzSUB全層ホルダー」とが組となる。
一旦仕掛けを切らなくても同じ環付きタイプならすぐにウキ交換できるから便利である。環付きウキでの釣法はその昔は唯一、軽い仕掛けで深ダナを探れるものだった。
しかし、ミチ糸がアワせた時の衝撃によって偏平になったり、ウキにミチ糸が絡んだりするなどのトラブルが多く、メジャーな釣法にはなれなかった。
しかし「KZSUB全層ホルダー」 はホルダーを付けることでそれらのトラブルを全て解消することができ、本来J環付きウキの持っている糸抜けの良さを保持したのである。ウキとしての使い方は「KZGTR」と変わちないが、前述したようにフィールドに合わせて即座にウキ交換できる。
また、長さ1・5CmのホルダーだけにGTRより糸抜けが良いことからさらに深ダナを探ることができ、大粒から小粒までの環付きウキの他、棒ウキまで使用できるから重宝するアイテムである。
特に全層釣法の初心者にはぴったりである。仕掛けの投入方法はGTRと同じ。
 今回の説明は私が考案した全層ウキ、「KzGTR」「KzGTR The Night」「KzGTR沈め」「KzSUB全層ホルダー」「Kz全層先ウキ」(トバシウキやアタリウキを用いない、単独での使用)に当てはまる事項である。
次回は「沈め釣法」に的を絞って説明しよう。