【下五島・黄島一帯は最高のクロ釣りフィールド】
不調の中でもそれなりの釣果/予選1位は5匹検量で3.95kg
@吉原 宏樹
私が住む福岡市を襲った大地震は、本震から1カ月以上たっても余震が続き、不安な毎日であった。今更ながら人間は大自然の前には無力であり、謙虚な心構えが必要であることを痛感した次第である。
幸いなことに私が所属するチームKのメンバーは大きな被害を受けておらず、予定通り4月29〜30日に春季クロ釣り大会を下五島の黄島一帯で開催することになった。
今回は、宮崎県の細田さん一行と、長崎市の宮崎さんにゲスト参加してもらうことになり、総勢20名である。
長崎市大波止からのフェリーで11時30分に福江港に到着。港にはエサを予約していた地元の釣具店・フィッシングYOU遊の山田さんと、渡船・おうしまの山下船長が出迎えてくれていた。
予約していたエサを船に積み込み、12時に出港。気になる最近の釣況を船長に聞いてみると「正直なところ、クロは釣れとらん」と悲しい返事。釣れるのは釣れるらしいが、小型ばかりで良型がダメとのことなのだ。
30分程でエンジン音がスローになり、黄島の北東部に位置する赤島に到着した。1番クジの私と2番クジの神谷さんが、鵜瀬という磯に上礁。船は続いて3番クジの小森さんと4番クジの新人・永松君を隣の磯に上げてから、黄島方向へ走り去っていった。
初めての磯なので、高台に登って海を観察すると、水深はなさそうだが適度にサラシが広がって雰囲気はグッド。神谷さんとジャンケンして最初の釣り座を決める。後は1時間半ごとの釣り座交代である。
ポイントの状況から、竿1本以内をクマなく探ることにし、水温が低く食い渋りが予想されるので、食い込みの良さを優先させた、キザクラの全層環付ウキをチョイスした。
マキエは、オキアミ2角にヒロキューの制覇グレとホワイトパワープラスを1袋ずつで、遠投できるように硬めに仕上げる。これが今から夕方まで半日分である。
大会のルールは、25cm以上のクロ5匹の総重量で、上位二名が明日の決勝戦に進出できるというもの。今回から過去の優勝経験者には、マイナス1kgからのスタートというハンディが設けられており、私もその中の一人となっている。
きついハンディだが、ともかく5匹揃えなければ勝ち目はないので確実にキープサイズを拾えるように、五島では細ハリスといえる1.7号を結んで釣り座に立つ。
左に伸びたサラシに数杯のマキエを撒いてから、サラシの先端に仕掛けを投入。ハリスの長さ分、引き戻し、緩やかな右流れの潮になじませていく。
数投目にしてアタリが出たが、これはベラ。その後もベラがハリ掛かりしてくるので、仕掛けが入りすぎていると判断し、Jクッションの下に打ったG5を外してみることにした。
これが正解で、すぐに30cmのオナガをゲット。小さいが規定サイズをクリアしているのでキープする。
マキエにクロが寄ってきたようで、続いて神谷さんも同サイズのオナガをゲット。

だが、確かにクロが寄ってきたのだが、それからは25cmに程遠いコッパグロの入れ食いとなってしまった。
どうしたものかと考えながら、ふと隣の磯に目をやると、小森さんの竿が大きく曲がっており、明らかに40cmオーバーと思えるクロが取り込まれた。そして、こちらに向かってXサイン。小森さんは還暦を過ぎた最年長の方だが、釣りに対する情熱は衰えを知らない。
こちらも負けておれないと竿を振るが、一向にサイズアップしてくれない。そんな私を尻目に、また小森さんが良型を取り込んだ。30mも離れていないのに、この差は何なのだ。
1時間半が経過し、釣り座を交代したので、一から釣りを組み立てることにした。一カ所にマキエを入れ続けると、コッパグロの猛襲になるのは分かっているので、ポイントを瀬際、15m沖、30m沖の三カ所に設定し、ローテーションしていく方法に切り替えたのだ。
この方法が功を奏し、相変わらず30cm級と小型ではあるがポツリ、ポツリとキープし、数だけは5匹揃えることができた。
その後、35cmをゲットしたが、サイズアップもここまで。というのに隣は好調が続いており、小森さんと釣り座を入れ替わった永松君は40cmオーバーを連続で取り込んだ。バラシもかなりあったようで、お祭り騒ぎである。うらやましい。
納竿まで残り1時間となった18時、右流れ一辺倒だった潮が左沖に流れ始めた。チャンス到来!と集中していると、親ウキがジワリと沈みだした。そこでラインを張って待っていると、スプールを押さえていた中指がバチバチバチッと弾かれた。しばらく走らせてから竿を立てると、グーンと竿に乗り、今までとは明らかに違う重量感だ。
慎重なやり取りで取り込んだのは、40cmオーバーのクチブトだった。釣り始めて5時間後の満足サイズに、思わず口元がほころんだ。
あ、反撃開始!と勢い込んだものの、左に流れ始めたはずの潮が、また右流れに変わって万事休す。納竿の19時ギリギリまで粘ったものの2匹目の良型は手にすることができなかった。
回収の船に乗り込むと、小森さん組以外のメンバーは顔色が冴えない。良くなかったようだ。
帰港後の検量の結果、高木氏が47cmのクチブトを釣ってはいたが、黄島回りは全員不調で、赤島回りに軍配が上がっていた。
ちなみに、予選1位が5匹で3・95kgを仕留めた永松君。2位が3匹で3.05kgの小森さん、3位が私と同礁した神谷さんで、5匹2.75kgであった。私は5匹で3.2kgだったのだが、1kgのハンディを差し引くと入賞することはできなかった。
2日目の決勝戦の舞台は、大美漁の堤防流しとなり上位二名にゲスト参加の宮崎さんが勝敗に関係なくオブザーバーとして加わることになった。会のスペシャルアドバイザーである柴原さんと私が審判役だ。
6時、試合開始。しばらくの沈黙の後、宮崎さんが35cmのオナガをゲット。これで釣れ始めるか、と思われたが、再び沈黙の海となり、1匹だけで1ラウンドが終了した。
2ラウンドに入っても沈黙が続き、雨まで降りだしてきた。最悪だ。両者とも釣果なしの場合は、どうしようか?と考え始めたところで「きたっ!」と小森さんの声が響いた。竿の曲がりからして良型と思われたが、姿を現したのは外道のマダイでガックリ。
その後も状況に変わりがないので、たまりかねた柴原さんが空いていたポイントで竿を出されたところ、すぐに800gほどのクチブトをゲット。
これには全員ア然となったが、クロがいることが分かり三人の気合いが入った。
沈黙を破ったのは永松君で、良型と思われるクロが足元近くまで寄ってきたが、取り込みを焦ったのか瀬際でのシメ込みでハリスを飛ばされてしまった。
ガックリの永松君だったが、次の1投目にまたヒット。しかし、これもバラしてしまい、地団駄踏んで悔しがっていた。
この頃から雨が一段と強くなり、雷まで鳴り始めたので、安全第一と試合中断。
1時間ほど待ったが、天気が回復しそうにないので、これにてジ・エンド。他魚ではあるがマダイを仕留めた小森さんが優勝となったのである。
今年は4月上旬までクチブトが釣れ続いたせいか、現在の黄島一帯は中休み状態。それでも、それなりの釣果がみられるので、クロ釣りの最高のフィールドと言えるだろう。
後ひと月もすると水温が上昇するため、オナガの食いが活発となり、本来の姿を見せてくれるはずである。
(チームK/九州真グレ会・福岡)