鵜澤流無敵のウキフカセ釣り
 【名手の手ほどき】    鵜澤政則

厳密にいえばタナは魚の就餌層、ウキ下はウキ止めからハリまでの長さのこと。タナを合わせるとは、魚がコマセに誘われて浮いてくるタナにウキ下を合わせることだ。が、単純にウキ下の長さが合っていても、それが思ったとおりに沈んでいなければ魚は釣れない。極端にいえば、ウキ下10メートルの仕掛けで水面下2メートルを流して、釣れない釣れないといっていることもある。そのあたりをよく考えてみよう!

読者からいただいた質問で多かったものの中に、「最初に設定するウキ下はどうやって決めるのか」「タナの見つけ方や釣り場、魚に対してのウキ下の合わせ方はどうするのか」というものがありました。
一部を紹介すると、
 ●最初に設定するウキ下はどうやって決めたらいいのですか? 荒井孝郎さん(33歳)
 ●釣り場、魚に対してのウキ下の合わせ方を知りたいです  松島宙太さん(32歳)
 ●ウキの選び方、タナの見つけ方など教えてください  猪瀬幸司さん(34歳)
 ●タナを探る簡単な方法、また、タナの変化のつかみ方  滝沢英俊さん(40歳)
 ●最近ウキフカセ釣りを始めた初心者ですが、
     タナ取りがよく分からない!どうすればよいか?  今野嘉之さん(42歳)
 などです。
 
もともとメジナは海底の岩の下などに生息しており、コマセに誘われ岩陰から出てきてエサを捕食します。したがってウキ下は、メジナの浮いてくるタナに合わせる、まあ簡単にいうとそういうことになります。もっとも実際には、特に初心者の場合、それが思ったようにできていない、または本人の意思と違った深さになっているので釣れないということがよくあるわけです。
 
また底取り(海底までの深さを測る)をしたほうがよいかどうかという質問もありましたが、メジナに限らずウキフカセ釣りに関しては浮かせて釣るのが原則なので、わたし自身、底取りをしたことはありません。これは釣り場の深い浅いに関係なく必要ないと思っています。

■魚の就餌層にウキ下を合わせることが大切!■

 ウキしたの長さを合わせるだけでなく、仕掛けがきちんと沈んで魚の浮いてくるタナまで届いているかどうかを確かめよう。
 
実際の釣り場でよく見かけるケースとして、隣で釣っている人はよく釣れているのに、自分のほうはまったくアタリもなく釣れない。またはエサばかり取られてしまって魚がハリに乗ってこないということがあります。その原因のひとつとして、ウキ下が合っていないという場合が少なくないのです。
 
ウキ下が合わないというのは、ひとつは魚が浮いてきているタナとウキから下の仕掛けの探さが合っていない、つまり物理的に魚のタナ(就餌層)とウキ下が合っていないこともあるし、もうひとつはウキ下は合っているのだけれど何らかの理由、たとえば横風で仕掛けが流れたりして仕掛けがタナまで入っていなかったり、逆にウキが速く沈んでいきすぎてタナよりも下にいってしまったりという、二次的な理由でタナが合わないということもあります。
 
特にこれからの時期に気を付けなければならないのが風の影響で、風で道糸やウキが流され、ウキから下の部分が引っ張られて浮いてしまったり、仕掛けが横流れしてしまってタナまで入らないということが起こりがちです。冬季は風の強い日が多くなり、その結果、水温が下がって魚の食いが渋くなります。この食い渋った魚に付けエサを食わせるためには、軽い仕掛けをできるだけ自然に沈めるようにしなければならず、あまりしっかりと沈められるような重いオモリは使いたくないという、厳しい条件が突きつけられます。

 

風の強い日には軽い仕掛けは使えないのだけれど、使わなければ魚に仕掛けを見破られて食いが悪いし、かといって無理に仕掛けを軽くしても前述のような事態が起こって結果的に釣れない……。ジレンマです。そういう時はどうすればいいか。

もちろんできるだけ軽い仕掛けを使うほうがいいに決まっているのですが、こういう場合は仕方がないので、あまり軽い仕掛けにとらわれず、多少重いオモリを使った仕掛けでもいいから、しっかりとタナを取る、というのが答えです。メジナ釣りで食わせるために一番大事なことは、仕掛けの軽さや繊細さを云々するよりも、まずメジナの目の前にエサがあるということを心がけるべきです。

目の前にエサがあれば、いつかは食ってくることがあるものです。軽い仕掛けが使えないのなら重い仕掛けでもよいから、しっかりと仕掛け(付けエサ)を沈めるほうが、まだ食ってくる可能性は高いと思います。
 
上級者クラスになると風があっても、ウキ下がきちんと取れているかいないかが感覚で分かるもので、何とか魚のタナに合わせてゆくものですが、経験の少ない初心者にはこのあたりがなんとも難しく、感覚的にも理解しがたい部分だと思います。
 
初心者の場合、おそらく自分のイメージでは仕掛けはきちんと沈んでまっすぐに立っており、タナが取れているつもりだと思うのですが、実際は沈んでいないことが多いもの。こうした頭で思い描くことと実際の状態が違うこと、つまり感覚的なズレはよく起こるもので、それが原因で釣果が出せなくなってしまうのです。

■釣り始めるときのウキ下はシビアに考えなくてもOK■

状況に合わせてウキ止めを動かし、魚の食ってくるタナを見つけること。タナがコロコロ変わるときは、全層釣法で常にコマセと同調させるのも有効だ。では質問にあった、タナの見つけ方はどうするのか、何を目安にしているのかを考えてみましょう。
 
まず最初はアットランダムにウキ下を決め、エサの取られ方を見ながら少しの時間仕掛けを流してみて、付けエサが取られるようならウキ下を浅く、エサが残るようなら徐々に深くするというのが定石です。つまり釣り始めるときはその時期、またはその場所での一般的なウキ下を取って、釣りながら前記の動作を繰り返して、徐々にタナを合わせてゆくようにします。
 
わたしの場合メジナの活性の高い秋や、冬でも水温が数日安定しているようなときなら3メートル(約2ヒロ)、風が吹いたりして水温が下がって活性の低いときなら5メートルくらいを目安にスタートのウキ下を決め、釣り始めています。
 
タナを探る簡単な方法は? ということですが、ウキ止めを使った固定式(ウキ止めの位置まで遊動したらそれ以上深く入らない)の仕掛けではこのような方法を取るしかないでしょう。これを手際よくやってメジナのタナを探ってゆきます。けっこう面倒な作業です……。
 
でも最近はもっと簡単にウキ下を合わせられる方法があります。それが最近トレンドになりつつある全層仕掛けです。
これはいつでも使える仕掛けですが、特にメジナが浮いたり沈んだりして食っているタナが不安定で、なおかつ平均的に深い所を釣ることの多い寒の時期のメジナ釣りにはもってこいの仕掛けです。
 
ウキ止めが付いていないので、どのくらいタナが取れているのか不安ではないのか?という質問もあるのですが、タナ取りの発想を転換してください。この仕掛けの場合は別にタナを知らなくとも釣れるのです
 
メジナのタナは潮の流れやコマセのまき方、その時の水温などでコロコロと変わるものです。しかしメジナは、コマセを食うために必ずコマセの漂っている所に寄ってくるので、このコマセの中に付けエサを入れてどこまでも一帯に沈めていけばよいというのが、この仕掛けの発想の原点です。つまりタナは常に不安定なもので、一定ということはありえません。

しかし、コマセの中に付けエサをなじませてどこまでも沈めてゆけば、タナは分からなくても食わせるのに何の支障もないわけです。ですからこの全層仕掛けを使う場合、ウキ下はどのくらいかということを気にする必要はなく、いかにうまくコマセとともに仕掛けを沈めてやるかを考えて釣ればよいわけです。
 
ウキ止めの付いた仕掛けの場合、それまで食っていたウキ下よりもタナが下がって深くなると、付けエサが残ってくるようになります。それまでメジナが食っ
ていたのに、何回か続けて付けエサが残ってきたらウキ下を徐々に下げてみます。

どのくらい深くなっているかはその時の状況によって違いますから、釣り始めと同じようなスタイルでウキ止めを動かし、ウキ下を下げて仕掛けを流しながらチェックしていきます。ウキ止めをズラす幅は、矢引か1ヒロくらいの単位で動かせばよいでしょう。
 
また逆にメジナが浮いてタナが浅くなった場合は、いきなりエサ取り出てきたかのように、付けエサが取られてしまいます。このウキ下が浅くなったという状態はなかなか分かりにくいもので、それまでメジナが食っていたのに突然エサばかり取られるようになると、まるでコマセに集まっているのがメジナからエサ取りに変わってしまったように感じるものです。
 
でも待ってください。それまでメジナが食っていたのに突然このような変化が現れた場合には、それをエサ取りだと勝手に判断せず、とりあえずエサを取っているのが何かを確認してください。メジナがコマセを食い飽きてどこかに行ってしまい、代わって本当にエサ取りが集まってしまうケースもありますが、案外メジナの活性が上がり、それまで釣っていたタナよりも浮いてきていることも多いものです。つまりタナが合わなくなっているということです。
 
こういう場合は、ウキ止めを動かしていって、付けエサが残る所までいったんウキ下を浅くしてやります。付けエサが何回か残ってくる深さ(浅さ?)を見つけたら、今度は少しだけウキ下を深く下げるようにしてウキ下を合わせ直します。こういうマメな作業も必要なのです。
 
■水深が浅く根の複雑な所ではウキ下を決めて狙うこと!■

 この日は海も荒れ気味で濁りもあったため、やや浅めの中層狙い。ジンタンを段打ちにして、しっかり仕掛けを沈めての釣りとなった。

今回実釣で訪れた南房・根本の御神根は、いかにも房総の磯らしく水深はあまりありません。深い所で竿2本くらいなのですが、高い根が多くてなかなか深いタナは攻められない釣り場です。こういう所では全遊動や全層仕掛けよりも固定仕掛けのほうが効果的かつ効率的です。

海は荒いのであまり軽い仕掛けも使いにくく、やはりジンタンを数段打ちにするほうがしっかりとタナに付けエサが入ってゆきます。
 
基本的にウキ下は底までは取らず、やや底を切ったくらいから高い根の頭くらいまでの問で攻めます。濁りがあるときは浅くてもよいのですが、濁りがなく潮の澄んでいる時はやはりやや深めのウキ下で攻めるほうがよいでしょう。

この日はやや濁り気味だったので、多少浅めの中層狙いで攻めました。
 
コマセもあまり重い配合エサを使うと、底に魚を集めてしまって浮いてこなくなるので、今回は軽めの「強力グレZ本流」を使いました。例によってコマセのオキアミはあまり細かく砕きません。濁りがあり波も強いのでハリスは2号を使用、ハリはZEEKフカセ兢技の7号を使いました。
 
初めのウキ下は3メートルほどでスタート。付けエサの残り具合を見ながら、また波の動きと根掛かりの様子によって深くしたり浅くしたりしています。ヒットしてくるのは33〜40センチくらいのメジナでしたが、水深が浅いために魚が走り回り、ハリスが根に掛かる危険性が大きいのであまり細仕掛けは使えません。
 
結局メジナ4尾とクロダイ2尾をキープしましたが、もう少し寒くなって磯にノリが着き始めるころになると、もっと良型のメジナ、クロダイがヒットしてくると思います。


渡船/弘栄丸рO470・38・3053