【釣り人御用達エド山口フィッシング広辞宴】
第26項【マヅメ】(間詰め)


「朝マヅメ」「夕マヅメ」などという使い方で用いられ、1日のうちで最も魚の食いが立つ時間帯として知られている。
 
「間が詰まっていく」の意味合いですが、釣り初心者が、イロハのイとしてまず最初に覚える釣り用語がこれでしょう。
 
古くは、「朝マヅメ」を「かたわれどき」、「夕マヅメ」を「たそがれどき」と称していました。「かたわれ」を漢字で書くと「彼は誰?」、「たそがれ」は現在では「黄昏」と表記しますが、それ以前は「誰そ彼?」です。つまり、どちらの用語も「薄暗くて相手の姿がハッキリとは見えにくい状況」を指し示している言葉です。
 
夜、浅場に寄っていた磯魚は陽が昇るとともに沖へ出ていき、夕暮れ間近になると再び接岸して来るという行動を練り返して生活しています。「就餌」と「保身」に関する自然の摂理なのでしょうが、釣り人にとってはこの時間帯が狙い時。「朝マヅメ・夕マヅメは1日の釣り時間の合計に匹敵する」と言われる所以です。
 
この時期、南伊豆ではヒラスズキが磯から釣れますが、時間帯は完全に「朝・夕のマヅメ時」と決まっています。日中にも釣れるという話を聞いたことがありますが、エド山口自身の経験では昭和50年から現在に至るまで、日中にヒラスズキを掛けたことはありません。
 
ヒラスズキの行動パターンを僕なりに分析すれば、朝・夕に接岸する理由は彼らの就餌行動と密接な関係があると思われます。その場に居さえすれば必ずルアーやオキアミ&生きエサにヒットしてくる習性の持ち主である以上、日中に生きエサ(小サバなど)を流しても反応がないということは、その場に居ないと考える他はありません。
 
メジナ釣りが本業の僕が、沖磯に渡った朝1番でミノーを曳くのは前述の理由からです。居れば1発目からボコッと姿を見せますから、2投目には必ずやヒット!!そこに3尾のヒラスズキが居るとしたらすべて釣れるということになります。
 
過去最大の釣果は南伊豆中木の「カツオ島」における12尾連続ヒットでしょう。

上が76センチ、下が56センチですから大したものです。6尾目からは「もう飽きた!?」という感じでキャスティングを繰り返していたくらいですから、「ヒラスズキってバカだよねえ」とスカパー釣りチャンネル番組内で話したところ、かの丸橋英三さんから、「エドちゃん、そんなこと言うと殺されるよ。ヒラスズキだけで1冊の本ができるくらいなんだから」

「んなこと言ったって丸橋さん、専実なんですから、居たら居ただけで食って来ちやうんですよ、あんまり頭がいいとは思えないじゃないですか」「そりやあ、エドちゃんは沖磯に集るからそうなんであって、地磯周りから狙っているルアーマンには、1尾仕留めるのにムキになっているヤカラが多いのよ」と メジナ釣りの合間にチョッと投げて釣れてしまうような魚ではないということなのでしょうが、でも「朝・夕のマヅメ時に、居れば簡単に釣れる、居なけりゃ釣れない」というヒラスズキのイメージが僕の中で変わることはありません。。
 
この例でも解るように、他の魚の行動も必然的に朝・夕を中心に活動していると思われます。

回遊水族館で話を訊くと、
「ブリやヒラマサなどの回遊魚は、深夜に遊泳速度が60パーセントにダウンし、午前3時ごろから再び元の速度に戻ります。

つまり朝方の就餌行動に向けての準備と思われます」「じゃあ、600パーセントにダウンした時が休んでいるということですか?」「プリやヒラマサ、カツオやマグロなどの魚族は、身体の比重が海水よりも重くできているため、泳ぎを止めてしまうと海底に向けて転落していってしまうのです。

だから泳ぎ続けているしか手がないのです。サメも同じです」「エラ呼吸の問題もありますよね」「クロダイとかマダイのようにエラを大きく開けて呼吸する魚族と遠い、回遊魚の多くはエラがそれほど開きませんから、速いスピードで泳ぐことによって、より多くの海水を口の中に通し、その中から酸素を摂取しているわけです」なるほど……。
 
でも、メジナ釣りを長期間に渡ってやり続けているエド山口の中木におけるニックネームは「午後2時過ぎの男!!」。朝1番から竿を出し、ポツポツと釣れるものの「これでOKサイズ」をハリ掛かりさせる確率が午後2時過ぎに集中していることを考えると、「マヅメ時じゃないじゃん!!」

この答えは簡単です。
自然の海には元来コマセがありませんから、魚の行動パターンはよほどの天変地異(たとえば地震とか台風)がないかぎりは一定化しているはずです。

しかし、いま述べたコマセ=「釣り人が寄せエサをまく」という行動に出ると、魚たちはそれを無視できなくなってしまうのですっなぜなら、自然界では「エサが絶対に確保できる保証はない」に等しく「食べられる時に食べておかなくては」という危機感がつねに存在していると考えられるからです。 

これは地上の自然界に暮らす動物にとつても同様で、ライオンだって毎日エサが確保できるわけではありませんから、食べられる時に思いっ切り食べておくという習性が身に付いているはずです。我が家の娘が大事に飼っている「ハムスター」にエサを与えると、まずは頬っペタに溜め込んでしまうという習性。このパターンは猿も同じです。

「いつ食事にありつけるか判らない」状況下にあって、オキアミなどという人間がカキ揚げにしても美味しいようなものをまかれた日には、それこそ「いま食べなくては!!」と思うに違いありせん。しかし、そこはそれ、ある程度の型モノになると過去の経験から警戒心は強く「どうも不自然だなあ?」の気持ちから遠巻きにして見ているのでしょう。
 
こっちとしては、そのターゲットを獲りたいわけですから、経験不足で警戒心の少ない本命以外の魚たちと格闘しながら辛抱強くコマセを打ち続けて数少ないチャンスを待っているわけです。

辛抱が限界に来たのと、うまい具合の潮巡りによって「ついに付けエサを食わせた!!」という時間帯が午後2時台になったのだとエドは勝手に察しています。
しかし、これだと困るのは中木以外の地区で竿を出している時です。ある時、入間の取材で3時まで延長してもらったら、2時20分に43センチを仕留めたことがありました。
 
ということは、潮回りがよくない場合には、粘りに粘って6時間以上経過しないと型モノは獲れないかもしれない、という概念を釣り人は東の隅に入れておく必要があるということでしょうか。
 
朝1番に来ない時には、コマセの効き具合を考慮に入れて2時間単位で警戒するようにし、「9時、11時、13〜14時あたりを良型メジナハリ掛かりに関する時間帯」と設定して釣りに臨むエド山口です。

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